南米パラグアイ・レダ開拓の歩み
2023年2月24日(金) 一般社団法人 南北米福地開発協会
【はじめに】
1999年8月より、南米パラグアイの北部チャコ地方の州都オリンポで開催された日本国家メシヤ40日特別修練会の最終日、文鮮明総裁・韓鶴子総裁ご夫妻(以下・真のご父母様)は、オリンポの北方プエルト・レダの開拓を命じられました。呼びかけに応じたオリンポ修練会に参加した102名の国家メシヤに対して、真の御父母様は、即レダに入植して、天国のモデル都市を建設し、その基盤を南米に広げ、さらに北米まで拡張するというビジョンを語られました。国家メシヤは新組織の結成。真の御父母様は「南北米福地開発協会」と命名されました。
国家メシヤ団は現地開拓組と日本支援組に分かれて、レダ開拓が始まり、今年2023年まで早24年の歳月が重ねられました。この間レダでは、基本的な施設として、真の御父母様の公館(水一荘)をはじめ、修練所(多目的ホール)、宿舎、食堂などが建設されました。
さらに、レダ開拓を推し進めるための経済基盤の造成のために牧畜、養豚、パクー養殖などを進めてきました。それと並行して、青年教育のためのプロジェクトとして、日本から青年ボランティア隊を毎年派遣、通算23回を重ねてきました。その土台の上に、昨年(2022年)から長期ボランティア隊として「チャパボラ」(チャコ地方・パラグアイ・ボランティアの略称)を昨年16名派遣し、今年は3月に4名出発する予定です。また南米の青年たちを対象とした修練会が開かれるなど大きな成果を挙げています。
レダ開拓20年以上を経過した現在、真の御父母様の願いをさらに推し進めていくためにも、いま抱える問題点、若い世代への摂理の継承、ならびに自立経済体制の確保などに向かって更なる努力を重ねていかねばなりません。
ここに、これまでのレダ開拓の歩みを総括して、基礎的な段階を越えて本格的なレダ建設の方向性を立ち上げるための「報告書」をしたためるものです
【初期開拓の歩み】
レダは世界最大の湿地帯のパンタナールの南端に位置します。修練会が開かれたブラジルとパラグアイの国境となっているパラグアイ川に面しています。オリンポからパラグアイ川をさかのぼること70キロ北にあたり、かつて牧場であった広大な敷地を有しています。
真の御父母様の声に応じて勇んで「上陸」したのは梶栗玄太郎さん(故人)たち。彼らに続き、国家メシヤが入植していき、石に自分の名を書き、記念の塚を作って、開拓が始まりました。
まず始めに数棟の廃屋に巣くうクモや毒ヘビ、サソリなどを駆除して、最低の生活ができる環境を整えました。食糧はオリンポから持参。しかし飲食料は川の水を濾過して作るしかありませんでした。石と砂を引き詰めて簡易の濾過機を手作りし、薬品を投じて飲料水や調理用の水としましたが、いつの間に作業した人の手の指紋がなくなるというハプニングも。
衣類の洗濯や食器などの洗い物は川で、洗面や入浴は当然のことながら川を利用するしかありませんでした。
メンバーは厳しい生活環境の上に、さらに厳しい自然環境にもさらされました。寒暖の差はいうまでもなく、雨はスコールとなり、一寸先は見えなくなり、平地は泥の海となることしばしば。おまけに、蚊の大群に襲われ、樹木の下には毒ヘビが徘徊しています。
こうした環境圏の中で、メンバーは真の御父母様の公館建設から始めました。日中の暑い気候の中で硬い粘土質の土地を切り開くことの困難さは言うに言えない苦労でした。すべてが手作り。未経験の土木作業。そうした中で、公館、修練所、宿舎、コテージ、プールなどがつぎつぎと完成していきました。
【進むプロジェクト】
レダ開拓の初期は先に述べたように環境圏の整備が主なるものでしたが、その後は経済基盤の確保のために、
・牧畜(牛)、養豚、鶏の飼育
・パクーの人口孵化と養殖。エビ養殖の試験的研究
・オオテナガエビの養殖研究
・養蜂の試験的な養蜂箱設置
・野菜、果樹園の整備
・植樹活動
などに力を注いでいきました。これは今日まで引き継がれています。
中でもパクーの人工孵化と養殖は青年たちの力強い尽力もあり、一応軌道に乗り、冷凍パクーの販売までこぎつけました。年一度の稚魚放流式はパラグアイ大統領や政府要人、そして地方自治体の首長らが主催するまでになりました。また、ソーセージ加工と販売、水産加工の販売にも手掛けるように準備が進んでいます。
レダでの活動を支えたのは、日本をはじめアメリカなどの各国で生活する国家メシヤのさまざまな支援活動でした。
まず、毎月第一水曜日午後、渋谷・松濤に集まり、真の御父母様のみ旨の成就、ご健康とレダ開拓が御心に叶うことを願い祈祷会を重ねてきました。さらに会員獲得のための年数回のセミナーの開催。月一回の機関紙「パンタナール通信」を発行し啓蒙活動を強化してきました。国家メシヤは無論のこと、その家族や女性宣教師の方々の協力も大きい支えとなりました。
プロジェクトとして、著しく関心を呼んでいるのが、日本から派遣した青年ボランティア活動です。第一回の2000年から毎年一回のボランティア隊は第22回におよびました。
青年派遣の目的は、
・奉仕活動を通じて参加者の世界的指導者に向け育成
・少数民族(インディヒナ)の子供のための校舎建設
・ノート、鉛筆など教材提供を通じて教育実施の環境の向上
・レダ近隣の町に公園整備や植樹を通して環境の改善
などです。
これまで青年ボランティア活動に参加したのは延べ2500人です。参加者は地球の壮大さと貧富の差、国情の違いによる複雑な世界情勢を目のあたりにして、教団がめざす世界的な貧困、環境問題などの解決に向けた、真の御父母様のさまざまなプロジェクトの重要性や緊急性などの理解の一助になったとの感想を述べていました
レダ基地にある修練所を活用し、青年教育の場となっております。パラグアイ教会の青年の修練会や隣国ブラジルの青年たちの修練会も開催されました。今年2月にはアメリカ教会の青年たち約20人がパラグアイを訪問、ボランティア活動を行いつつ、レダにも足を延ばして、レダ開拓の実情を視察しています。全行程20日余り。青年たちは未来に向かってさまざまな良き経験をして帰国することでしょう。
レダ開拓の現場メンバーの視点から、青年ボランティアの意義は理解しつつも、さらにレダの各プロジェクトの推進に長期にわたって支援活動を要請する声があがり、短期のボランティア活動から長期のボランティア活動への「昇華」することになりました。
その第一陣は昨年(2022年)春に派遣、約9か月現地に滞在しました。さらに昨年秋に第2陣を派遣。現在レダで活躍中です。そして今年3月に4人を第3陣として派遣する予定です。
第一陣の6人が今年2月に帰国し、2月18日の「レダ開拓24周年 新春特別集会」に参加して、来賓として出席されていた神日本大陸会長、方相逸会長ご夫妻はじめ、国家メシヤ、支援・賛同者ら150人の前で、帰国報告を行いました。
青年たちは、足掛け一年あまりレダで生活を通してそれぞれ貴重な体験をしてきました。レダでの生活は、朝4時半に起床して、5時から祈祷会、訓読会を行って出発。朝食を取った後、各プロジェクトの業務をこなしていきます。一日は反省会、祈祷会で終わります。毎日が彼らにとって修練の場となっているのです。
当然ながら青年たちは、
・神様への信仰と真の御父母様への孝情
・国家メシヤの摂理的み旨に献身する姿からの学び
・自身の信仰生活を振り返り、新たな自覚に目覚め
・今後、日本に戻って、教会と如何なる関係をもって過ごしていくか
・縁を持ったレダでの活動に参加するか
などを考えながら自身の信仰生活を設計していくことでしょう。要は、レダは青年教育の場として今では画期的な訓練場となっているといえましょう
【めざす目標とその課題】
レダ開拓はあくまで「天国のモデル基地」を建設することにあります。そのためにこれまで国家メシヤ団が一堂に会して闘ってきました。出発時は50歳代から60歳の国家メシヤも20年の歳月を重ねてきましたので現在では70歳、80歳と高齢になっております。
当然のことながら、レダ滞在者は国家メシヤだけではなく、シニア層の賛同者、協力者が活動しています。若手の滞在者も徐々に増えてはいるものの、各プロジェクトを推進するためには、人出不足は否めません。青年層、現役世代、シニア層のメンバーは一体となって、「世代交代」ではなく「世代融合」しつつ、レダ開拓は進んでいく状況を作り出さなければなりません。
青年教育のためのも絶好の場所であるとはいえども、レダ開拓を現実的に推し進めていく、各プロジェクトの勝利的基盤、経済自立体制の整備無くして、受け入れることはできません。青年の受け入れとプロジェクトの成功は車の両輪なのです。
ここで新たな課題が浮上してきます。それは、どのような青年を派遣するのかというものです。現在チャパボラ参加者には次のような条件を示しています。
・21日修練会に参加していること。統一原理を受講して、その思想信条を理解。さらに神様と真の御父母様への敬意の心情を抱いていること。
・教会の祝福結婚を理解し、将来真の御父母様からの祝福結婚を希望していること。
・公的精神を中心として、み旨を理解し、あわよくば公的なみ旨の賛同、協力か
このような点に留意して、派遣前に参加者と面談、また父兄や所属教会青年部と連絡をとりつつ決定をしています。
送る側のこうした歩みとともに、レダ現地では現場責任者が一人一人と懇談し、希望を聞きつつ仕事面の適正を考慮して配置しています。今は一回の派遣人数が10名足らずですから、指導可能ではありますが、10名を超える場合は、現地スタッフだけでは、行き届かないことを心配しております。その場合、日本側から信仰指導などを行うリーダー派遣も望まれます。
さらに現地のプロジェクトの大きな力となることは間違いありませんが、それとともに青年の人数と比例して経費の高騰も避けられません。バランスの取れた青年派遣が望まれます。また、青年とともにシニア層の派遣にも注目しています。専門的能力を持つ方の重要性、はプロジェクトが進めば進むほど期待されてきます。現在レダに滞在するメンバーの中には看護師免許取得者や幼児教育専門家もいます。
天国のモデル村、平和な町を建設するには幅広い人材の投入が不可欠です。南北米福地開発協会はレダの未来像を見つめつつ、日夜努力を重ねていきたいと決意しております。
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